第十一番 壁

 

 扉が軋む音。

 沈殿していた地下室の闇が、電灯の光に押しやられる。

 そこは、何もない、部屋だった。

 剥き出しのコンクリートの壁。

 長い階段を、下りてくる足音がある。

 男は、二メートル近い身長があった。分厚い筋肉は強暴なフォルムを形作っている。

 その手に握られているのは、幅広の斧だった。

 地下室に下りた男は、無表情な顔で部屋を見回した。小さな目はガラス玉のようだ。

 男は右側の壁へと歩いた。

 ゆっくりと、白い壁に目を近づける。

 そこには、小さな紙切れが貼られていた。

 紙切れには、下手な字で『三崎恭子』という名前が書かれていた。

 四方の壁には、一メートルほどの間隔を置いて、合計で三十近い紙が貼られている。紙には、それぞれ別の名前が書かれてあった。

 男は、斧を振り上げた。

 そのまま、壁の『三崎恭子』の部分に、斧を叩きつける。

 コンクリートが砕け、破片が飛び散った。

 男は、再び斧を振った。

 壁が、更に削られる。

 男は、斧を振り続けた。

 抉れていった壁の抵抗が、突然なくなった。

 壁が抜けたのだ。

 壁の向こうには、狭い空間があった。

 男は少し背を屈め、覗き込む。

 そこには、膝を抱えて座る少女の姿があった。

 少女の冷たい体は所々、コンクリートに埋もれている。

 美しい顔は血の気を失ったまま動かない。

 少女の開かれた目は、虚空を見つめていた。

 男が手を伸ばした。

 少女の頭を鷲掴みにする。

 無造作に引っ張った。

 ゴキゴキ、と音がした。

 少女の首が妙な角度に曲がった。

 ブヂブヂ、と音がした。

 少女の首が胴体からちぎれた。

 血は殆ど出なかった。

 男は少女の首を取り出して、無表情にしばし眺めた。

 そして、右手に斧を、左手に少女の首を持ち、階段を上っていく。

 電灯が消え、地下室に闇が戻った。

 扉の軋む音。

 そして静寂。

 

 

  第十二番 トリック

 

 進め。進め。

 遥か遠い昔、火の使い方を知らなかった頃より。

 お前達は、絶え間なく文明を進歩させてきた。

 より便利に、より効率良く、より豊かに。

 幸せを増やし、不幸を減らすために。

 遥かなる高み、永遠の理想郷を目指して。

 求める幸福が、そこに存在することを信じて、お前達は進む。

 そう、歓喜して進め。

 究極の真理を目指して進むがいい。

 それがお前達の生き甲斐であり、存在意義なのだから。

 そう、お前達は気づいていない。

 到達した究極のその場所に、真の幸福が待っているのではなく、その場所を求めて進む行為自体が、真の幸福であることを。

 お前達は、自らの記憶を封じている。

 さあ、進め。進め。

 自分で自分を騙しながら進め。

 究極の真理に到達した時、世界は終わる。

 究極の真理とは、自分で自分を騙していたことに気づくこと。

 世界は、積み上げてきた文明と歴史は、一瞬で崩壊する。

 最初からやり直すために。

 お前達は再び究極の真理を求めて進んでいく。

 歓喜しながら。

 それが永遠の至福。

 だから進め。

 進め。

 

 

  第十三番 死の人

 

 街角。

 止まらぬ人の流れの中で、建物の壁に背を預け、彼はじっと立っている。

 彼は二十才くらいに見えた。その顔は整っているが、服装と共に特徴がなく目立たない。

 何を眺めるでもなく、彼は無表情に立っている。

 彼は何もしない。誰にも話しかけず、誰から話しかけられることもない。

 彼は、マネキン人形のように、ずっと、立っている。

 街行く人々は、彼を気に留めはしない。自分達の欲望へ向かって、それぞれの道を歩いていく。

 その中で、ぽつりと一人、彼の存在だけが異質だった。

 日が落ち、夜中を過ぎ、人々の姿が消えても、彼だけは動かなかった。

 次の朝が訪れ、人の流れが再開する。

 それを横目に、彼はやはり不動の静寂を保っていた。

 いつから彼がそこにいるのか、誰も知らない。

 ふと一人の若者が、彼の存在に気づいた。毎日同じ場所に立ち、同じ服装の彼に。

「あんた何してんだい」

 彼に近づいて、若者は聞いた。

「何もしません」

 初めて彼の口から、抑揚のない声が洩れた。

「ずっと前からここにいるよな。あんた、一体誰?」

「私は死です」

 彼の顔も目も、少しも動かない。唇が微かに動くだけだ。

「死って……あんた死神?」

 若者は呆れたように聞いた。

「死神ではありません。死、そのものです」

 彼は答えた。

 ハハ、ハ。若者は笑った。

「面白い奴だなあ。あんたが死だっていうなら、何かそれらしいことをやってみせてよ」

「分かりました」

 無表情に彼は答え、若者は少し不安になった。

 だがもう遅い。

 世界が、止ま……

 

 

  第十四番 インターネット

 

 孝志がインターネットを始めてそろそろ三ヶ月になる。

 それまでパソコンは持っていたが、インターネットにはあまり興味はなかった。ゲームをして、ワープロを使う、それ以外に何が必要なわけでもない。情報は新聞やテレビに溢れているし、欲しいものは本屋やコンビニで簡単に手に入る。

 それが、モデムを買って、実際にやってみると、ハマった。

 ホームページを覗くこと自体には大した意味はない。情報を得ること、コンテンツを楽しむことだけでは、既成のメディアに劣ると孝志は思う。

 だが、インターネットには、本や映画、テレビ番組では不可能な楽しみがある。

 双方向のコミュニケーション。

 インターネットでは、情報を得るだけではなく、電子メールや掲示板を使い、相手に意見や感想を送り込むことが出来る。新聞などに投稿しても見向きもされないような自分の意見が、世界中の人に読んでもらえるのだ。

 知り合った人々の素性を、顔も声すらも孝志は知らない。そこに存在するのは、文字情報だけだ。文字だけを通して、孝志は遠くに住む彼らのことを想像した。それは、日常で間近に顔を突き合わせる関係とはまた違っていた。孝志は日常の仮面を必要とせず、本音で彼らと語り合うことが出来た。

 いつの間にか、孝志は殆どの時間をインターネットに費やすようになった。

 孝志は部屋にいるだけで、世界中に存在するのと等しかった。

「僕は独りじゃないんだ」

 孝志はそう呟いた。

 部屋がかなり散らかっていた。掃除も忘れてインターネットに励んでいたせいだ。流石に孝志も三ヶ月ぶりの掃除をすることにした。

 パソコンはつけっ放しにして、申し訳程度に雑誌や空き缶を片付け始める。

 パソコンの裏側に隠れた雑誌を取ろうと覗き込み、孝志はギョッとした。

 電話線が、モデムに繋がっていない。

 すると、今までのは一体……。

 孝志がディスプレイを見ると、操作していないのに勝手にブラウザが起動し、大きな文字が浮かび上がった。

 『トウトウ知ッテシマイマシタネ』

 

 

  第十五番 善意の報酬

 

 大震災によってこの都市で三万人が死んだ。瓦礫の街で、ボランティア河野敬一郎は今日も一人奮闘を続ける。

 薄汚れた避難所。放心状態になって座り込む住民達に、河野は呼びかける。彼は運転してきたバンを開け、炊き出しのおにぎりを運び出し、豚汁の大きな鍋に火をかける。

「さあ皆、これを食べて、元気を出して下さい。また良い日が巡ってきますよ。そのためには、今はしっかり食べておかなくちゃね」

 河野の前に、行列が出来ていく。昼食を受け取る人々の顔に、少しずつ笑顔が戻り始める。

 会社を休み、自分の生活費をつぎ込んで人々に尽くしても、河野は何の報酬も求めない。ただ、困っている人を放ってはおけないだけだ。彼らの喜ぶ顔が、唯一の報酬と呼べるだろうか。

 良かった……。河野は、心の底からそう思った。

「グ、グエエエ」

 その時、苦鳴が聞こえてきた。

 え。

 食べていた一人が、真っ青な顔で腹を押さえ、吐いていた。

 吐瀉物には、血が混じっていた。

「何だ、どうした」

 慌てて駆け寄っても、介抱する間もなく、その人は白目を剥いて息絶えた。

「グエ、グオオオオ」

「ど、毒だ、毒が入ってる」

 次々と、河野から食事を受け取った人々が倒れていく。他の人もおにぎりと豚汁のカップを投げ捨てる。

 人々の、河野を見る顔が、感謝から、憎悪に変わっていく。

「わ、私じゃない」

 ど、どうしてこんなことに。何かの間違いだ。私は皆の幸せを願って……。

「この人殺し野郎!」

 人々が、河野に襲いかかった。河野は手足をへし折られ、眼球を抉り出され、耳鼻を削ぎ落とされ、内臓を引きずり出されて三十六年の善意の人生を終えた。

 

 

  第十六番 愛のループ

 

 彼は殺し屋だった。彼の前には傷だらけになった一人の男が転がっていた。この男を始末することが彼の役目だった。

「こ……殺せよ」

 男は血の混じった唾を彼に吐きかけた。

「言われなくてもそうするさ」

 彼は冷酷な瞳で男を見下ろし、銃口を男の額に向けた。

「待って」

 その時、一人の女が駆け寄ってきた。女は、男の妻だった。

「よせ、来るんじゃない」

 男が怒鳴るが、女は彼と男の間に立ちはだかった。

「この人を殺さないで。代わりに私を殺してもいいから、この人の命だけは助けてあげて」

「何を言ってるんだ。殺されるのは俺だけでいい。お前はどいてろ」

 彼は五秒ほど考えた後で言った。

「……。いいだろう」

 銃口を女に向ける。

「やめて、やめてよう」

 その時、一人の幼い男の子が駆け寄ってきた。夫婦の子供だった。

「駄目、隠れてなさい」

 女が叫んだが、子供は女の足にしがみついて離れなかった。

「僕が、僕が身代わりになる。だから、お母さんを助けてよう」

「馬鹿、あなたが死んだら、お母さんは生きていけないわ」

 彼は首を傾げ、少し考えた後で言った。

「そうしよう」

 銃口を幼児に向ける。

「駄目だ、俺を殺せ。息子を殺させるわけにはいかない。さあ、さっさと俺を殺せ」

 男が怒鳴る。

「嫌よあなた、私が死ぬわ」

 女が叫ぶ。

「お母さーん、死んじゃ嫌だよう。僕が、僕が」

 幼児が泣き喚く。

 互いに抱き合ってこんがらがった三人を、彼は見つめていた。

 そして、三度、引き金を引いた。

 折り重なる三人の親子の死体を暫く眺め、やがて彼は無言で去っていった。

 

 

  第十七番 生まれくるもの

 

 デパートの婦人服売り場に、毎週のようにその男はやってきた。

 年齢は、五十を幾らか越えているだろう。古いコートに丸縁の眼鏡、鳥打帽を目深に被ったその姿は、何処か胡散臭く、不気味でもあった。

 何を買うわけでもなく、いつもふらりと立ち寄っては、マネキンに着せたある服を眺め、そして去っていく。

 男の存在は、売り場でも噂になっていた。男が見ている服は若い女性向けの派手なもので、娘に買うつもりだけどお金がないから悩んでいるのだろうとか、いや愛人にだろうとか、更には男がただの変態ではないかという話まで出た。

 男が最初に姿を見せた時から、三ヶ月が過ぎた。

 その日、いつものように現れた男は、同じものを眺めながら初めて低い呟きを洩らした。

「もう、いいだろう」

 男はマネキンの着ている服を掴み、引き裂き始めた。皆が見ている前で、平然と。

「な、何をするんですか」

 慌てて店員達が駆け寄り、そしてギョッとなった。

 服を剥がされ露出したマネキンの腹部が、異常に膨れ上がっていた。服を着ていたので、彼らには分からなかったのだ。

 店員達が絶句して見守る中、男はその腹の表面に爪を立てた。

 ピキッ、と、音がして、ヒビが入り、それが腹部全体に広がっていた。

 中から、黒いドロドロしたものと一緒に、何かが転がり出した。

 男が両手で受け止めたそれは、小さな突起物を動かして、鳴き声を上げた。

 それは、人間の赤子に見えた。

「もらっていく」

 男は、大事そうにそれを懐に入れると、あっけに取られた人々を残して去っていった。

 男は二度と、売り場に現れることはなかった。

 

 

  第十八番 首吊り王

 

 私が初めて自殺を考えたのは、今から三十年ほど前になります。

 私は社会というものに絶望しておりました。自分の欲望を少しでも満たすために、陰日向なく永劫に続けられる醜い争い。弱い私は、彼らの凄惨な戦いに参加する勇気を持ちませんでした。

 自殺の手段として、私は首吊りを選びました。適当な縄を用意して、深夜に近くの公園へと向かいました。

 静かな夜でした。人生を終えるには最適の日に思えました。

 私は、丁度よい大きさの木の下に、ベンチを引きずっていきました。ベンチの上に乗ってぎりぎり届く高さの太い枝に、私は縄をかけました。

 輪を作り、深呼吸していよいよ首を通そうという時になって、突然地響きが伝わってきたのです。

 私はびっくりして周囲を見回しました。

 ゴゴゴゴ、と、沢山の何かがこちらに向かって近づいているようでした。叫び声のようなものも聞こえます。

 やがて、私はそれが何かを知ったのでした。

 それは、手に手に縄と椅子を持った、大勢の人々でした。二百人くらいはいたでしょうか。私の知らない人が殆どでしたが、中にはスーパーの店員なども混じっていました。

「うおおおおおおおおおお」

 彼らは凄い形相で、雄叫びを上げていました。皆、公園へと駆け込んできます。

 私は腰を抜かし、ベンチから転がり落ちました。

 彼らは、私の目の前で、公園の木々に走り寄り、椅子を置いて上に立ち、枝に縄を括りつけました。

「そうりゃああああああああ」

 そして彼らは次々と首を吊っていきました。一瞬の躊躇もありませんでした。彼らは全工程を、十秒ほどでやってしまいました。

 私は、ぶら下がった無数の死体を、暫くの間、放心状態で眺めておりました。

 ふと気がついて自分のかけた縄を見ると、既に他人が使ってしまっておりました。新しく割り込める枝もなく、私は自殺を諦めました。何か、馬鹿らしくなってしまったのを覚えています。

 それ以後も、しばしば私は人生に絶望し、ふらりと自殺をしようとすることがあります。

 でも、縄を持ち出していざという時になると、沢山の人達が押し寄せてきて、私よりも先に首を吊ってしまうのです。

 これまでの人数を合計すれば、十万人は軽く越えるのではないでしょうか。

 私はこういう不幸な星の元に生まれてしまったのだと、半ば諦めておりますが、やはり今でも死にたくなることがあるのです。

 だから、あなたも、私の巻き添えを食わないようにお気をつけて。

 

 

  第十九番 ペット禁止

 

 犬を買った。マルチーズの子犬だ。ペットショップを眺めていたら、あまりに愛らしい姿で鳴くものだから、ついつい買ってしまった。

 でも、僕の住むマンションはペット禁止だ。ばれたら追い出されてしまう。

 ばれなければいいさ。僕はダンボール箱に隠して部屋に連れ帰り、子犬に「チロ」と名前をつけた。

 そうして僕とチロの楽しい生活が始まった。チロは僕の枕を噛み裂いてしまったり、所構わずおしっこをしてしまったりと大変だったが、それでも憎めないチロの可愛い仕草に、僕は虜になってしまった。

 だが、一ヶ月が過ぎ、僕がチロとじゃれ合っていた時に、玄関のインターホンを誰かが押した。

「はい」

 僕は受話器を取った。

「管理人です。下の階の人がね、あなたの部屋から犬の鳴き声がするっていうの。だから、確かめさせてもらえる?」

 僕の脳裏に、ヒステリックな感じの太った管理人のおばさんが映った。

 まずい。僕は自分の顔から血の気が引くのが分かった。

「ちょっ、ちょっと待って下さい」

 僕は受話器を置くと、慌ててチロを抱え上げた。

 ど、どうする。ばれたら退去されられるか、犬を処分しなくてはいけない。

 隠せ。隠してしまえ。僕はチロを隠せるスペースを探したが、狭い部屋にはそんな都合のいい場所はない。

 クローゼットは、ばれてしまう!

 冷蔵庫は、凍死してしまう!

 トイレは、流れてしまう!

 再び、インターホンが鳴る。

 追い詰められて混乱した僕は、チロをごみ箱の中に押し込んだ。

「ここにじっとしているんだぞ」

 僕は言い含めようとしたが、チロは嫌がって暴れるばかり。

 焦る僕に、インターホンのベルが、更に追い討ちをかけた。

 僕の腕についつい力がこもった。

 ゴキン。

 嫌な音が、僕の腕を伝わっていった。

 チロは、首の骨が折れて、死んでいた。

「チロ……」

 僕は泣いた。

 また、インターホンが鳴った。

 僕は台所から包丁を取り出した。

 また、インターホンが鳴った。

「はいはい、今開けますから」

 僕は包丁を握り締め、扉を開けた。

 

 

  第二十番 グルメの舌

 

「お前、自分の舌には自信があるって言ってたよな。俺の舌で見極められないものはないって」

 田崎はテーブルの向かいに座る、同僚の城巻に聞いた。

「ああ。その通りだ。俺は世界中の様々な料理を食べてきたし、その味を記憶している。味覚で俺の右に出る者はいないね」

 城巻は平然と答える。

「このレストランのステーキは、凄くうまいんだぜ。流石のお前もきっとびっくりするさ」

「どうかな。まあこのスープはなかなかいけるけどな」

 城巻は澄ました顔だ。

 やがて問題のステーキが運ばれてきた。

「どうだ、うまいだろ」

 優雅に肉を切る城巻と対照的に、ステーキにかぶりつきながら田崎が言った。

 最初の一切れを口に入れ、城巻の眉が動いた。

「どうだ。ぐうの音も出ないか」

 田崎が面白そうに聞いた。

「オーナーを呼んでくれ」

 いきなり城巻は言った。

 呼ばれたオーナーは、店の料理にかなりの自信を持っているようだった。

「いかが致しましたかお客様、うちの料理に何かご不満でも」

「この肉は人肉だな」

 城巻の冷たい一言が、オーナーの顔を蒼白に変えた。田崎はあんぐりと口を開けた。

「ど、どうしてそれを……」

 オーナーの返事は、田崎を嘔吐させるに十分なものだった。

「ばれてしまっては仕方がありません。自首します。……私はただ、究極の料理を求めて……」

 オーナーはがくりとうなだれた。会話を聞いた他の客達が騒ぎ出し、店内はパニックに陥っていた。

「まだまだ甘いな。俺の舌を騙すことなど出来はしない」

 自信満々に言いながら、城巻は次の一切れを口に入れた。

 

 

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