第六話 海は広くて大きくて、とにかく深い

 

  一

 

 霧のような灰色の闇の中に、風原真は存在した。

 何処にいるかも分からない。何も見えず、地に足がつく感触もなく、そもそも足の感覚というものがなかった。

 体の感覚がなく、ここにいると、手や足や頭が何処にどうついていたのかも分からなくなる。

 何かの欠片のようなものが時折風原を掠めるが、それが何なのか分かる前にすぐに消えてしまう。

 ここには形がない。ちゃんとしたものがないので、はっきりとしたものは何も見えず、聞こえず、感じず、何も分からないのだ。

 何も分からないので、闇のようなそうでないような中で、風原はただボンヤリと過ごしていた。

 そのうち、ただのノイズのような音の欠片であったものに、声らしきものが混じり始めたいった。「アアアア」とか「ロロロ」とか、「アアアロロ」とか、声ではあったが意味はなかった。

 ……ニヲ……

 そして、「ア」と「ロ」ばかりだった声が、言葉らしきものを生み出した。

 ……ナニヲ……

「なにを」

 風原はオウム返しにそれを口にした。口があるのかどうかも分からなかったが、声になったような気はしていた。

 ……ナニヲ、ノゾム……

「なにを、のぞむ」

 ……オマエハ、ナニヲ……ノゾム……

「おまえは、なにを、のぞむ」

 ……ハッピー、エンド……

「はっぴー、えんど」

 ……シアワセ……

「しあわせ」

 ……サイキョウ……

「さいきょう」

 ……カッコ、ツケル……

「かっこ、つける」

 ……ジブンデ、カンガエル……

「じぶんで、かんがえる」

 ……タシカナ、モノ……

「たしかな、もの」

 ……ダレカニ、イテホシイ……

「だれかに、いてほしい」

 ……ワカラナイ……

「わからない。……分からない」

 ……ワカラナイ……

「分からない。何も分からない。僕は、分かるようになりたい。ちゃんとしたものに、なりたい。しっかりした、まともなものに。確かなものになりたい。強くなって、幸せになりたい。きっとそれが、正しいんだ。自分というものが、ちゃんと出来たら、僕はきっと、独りじゃなくなるんだ。分からないけれど、きっとそうだ」

 ……ワカラナイケレド……キット、ソウダ……

 朝になり、風原が顔を洗っていると鋼源十郎が声をかけてきた。

「風原、お前いつもうなされてるが、悪夢でも見てんのか」

 大路所長と鋼、風原は探偵社ビルに住んでいる。それぞれ寝室は別だが、鋼の耳はとても良かった。

「ああ、鋼さん、おはようございます」

 風原はタオルで顔を拭き終わると、笑みを浮かべて挨拶した。それから不思議そうに首をかしげて言った。

「悪夢ですか。いえ、特には。寝てる間のことは何も覚えてないので」

 

 

  二

 

 潮気を含んだ風に吹かれ、青い空の下で青い海を眺めながら、大路幸太郎は感慨深げに呟いた。

「うむ。海は広いですね」

「まあ……そうだな」

 鋼が適当に相槌を打つ。

「この間ヘリで移動中にも見ましたが、やはり船から見る海の方が臨場感があっていいですね。自分という存在がいかにちっぽけな存在であったか、思い知らされるような気がします」

「所長がちっぽけかどうかはともかくとして、臨場感はあるな。風を受けるし、揺れるし、船酔いする奴もいるし」

 鋼が後方を振り返る。二人がいた船首は手摺がついているが身を乗り出すと割と危なっかしい場所だ。安全な後部デッキの方の固定椅子に風原が座っているのだが、青い顔でぐったりとしていた。水上麗羅もそちらでクルーザーの後方に生じる航跡波を眺めている。

 ここは依頼人が所有するクルーザーの船上だった。二十人ほど乗せてちょっとしたパーティーなんかも出来る、モーターヨットと呼ばれる大型で豪華なタイプだ。探偵社の四人以外に、依頼人とその部下が七人乗っていた。

「風原さんもいずれ慣れますよ。慣れる前に片づいてしまうかも知れませんが」

「そうなって欲しいものです。皆さんには期待していますよ」

 上後方から依頼人の声がかかった。フライブリッジと呼ばれる、船室の上にある操船スペースに依頼人の伏川はいた。

 F&Sカンパニーの社長である伏川充(ふせかわみつる)は、高級スーツに身を包んだ四十代の男だった。ネクタイピンや袖のカフスには宝石が輝いている。それが嫌味にならないのは彼の整った顔立ちと落ち着いた物腰のせいであろうか。

 運転手とは別に、伏川の後ろに安西という大柄な男がついている。無口で無表情、武道経験者のようで手には拳ダコが出来ていた。伏川の護衛を務めているのだろう、鋼がいる時はその動きから目を離さない。

 大路はにこやかに答えた。

「ご期待には添えると思いますよ。少なくとも依頼された仕事はきちんとこなすつもりです」

「探偵社がこういう仕事もなさるとは驚きでしたが、何しろ『ミラクル』ですからね」

「はい、ミラクルなんです」

 平然と返されて、伏川は綺麗に揃えた口髭を撫でながら淡く苦笑した。

「目標の海域に到着するのは明日になりますから、それまではごゆっくりお過ごし下さい。夕食は豪勢になりますからお楽しみに」

「そいつはいいな。いい酒もあるのかい」

 鋼が尋ねる。

「良いものを一通り揃えていますから、お好みに合わせてお出ししましょう」

 伏川はそう言うと、大路達に一礼して船室に引っ込んでいった。安西も黙ってついていく。

 鋼が大路に届く必要最小限の声で言った。

「あいつは信用ならねえな。安西って奴も何人か殺してそうだし、連れてきてる部下達も荒事経験者だ。目的のブツを回収した後は用心した方がいいかもな」

「ほう。それは楽しみですね」

「……まあ、所長ならそう言うだろうな」

 鋼は肩を竦めた。

 水上は知らぬふりで海を眺めている。東京湾を出発して暫くは、社長や部下達も愛想笑いを浮かべて声をかけていたが、最低限の返答しかせず取りつく島もないので諦めたようだ。彼女は珍しく大型のキャリーバッグを持ち込んでいた。一般人の前で大っぴらに亜空間ポケットから荷物を出し辛いためだ。

 風原はじっとりと顔に冷や汗を浮かせ、段々椅子からずり落ちそうになってきていた。

 それを横目で一瞥し、水上はキャリーバッグに手を突っ込むふりをしながら亜空間ポケットから救急箱を取り出した。中にはこの惑星の医療技術と大体同レベルか少し上くらいの医薬品が収まっていた。

 そのうちの一つ、地球人には読めない文字が書かれた小箱を開封して、シートから一錠分をちぎり取る。

「これ、酔い止めよ。水なしで飲めるし、多分すぐ効くと思うわ」

 風原に歩み寄り手渡すと、彼は驚いた顔をして、それから「ありがとうございます」と言って包装されたシートごと飲み込んでしまった。水上も見ていた鋼も一瞬目を見開くが、敢えて指摘することは控えた。

「……おっ、なんだか効いてきたようです。気分がスッキリしてきました」

 五秒もしないうちに、実際に風原の血色は良くなってきた。椅子に座り直し、ニコニコと笑ってみせる。

「……そんなに早く効く薬じゃないんだけどね。包装も……いや何でもないわ」

 水上は首を振って溜め息をついた。

「それにしても水上が人に気を遣うとはな。デレ期が来たのか」

 鋼がからかうと水上は冷たい視線を返した。

「仲間だもの。最低限のケアはするべきでしょ」

「あー……気を遣って下さり、ありがとうございます」

 風原が再度礼を言い、それから妙に神妙な顔になって水上に尋ねた。

「あ、あの、すみません、ちょっといいですか」

「何かしら」

「あの、水上さんって、つき合っている彼氏とかは、いるんでしょうか」

 鋼がブッと噴き出した。大路はとても楽しそうにニッコリとした。

 水上麗羅はまず形の良い眉をひそめ、そしてすぐに上げてちょっと剽軽な表情を見せ、次に反応に迷っているような困った顔になり、最後にきついくらいの真面目な目つきになって、風原に問い返した。

「何。立候補するつもりかしら」

 彼女の声音はむしろ優しかった。

「えっ。議員にですか」

「……そうじゃなくて。私の彼氏になりたいの」

「はい。なりたいです」

 いつもは遠慮がちな風原が、この時はハキハキしていた。本当に彼氏の意味を理解しているのか。見守る鋼の視線は微妙に疑念混じりのものになっていた。

「そうねえ……」

 水上は少しばかり思案する仕草を見せた後、遥か年下の男に向かって噛んで含めるように告げた。

「あなたが誰にも負けない最強不滅の存在になって、私だけを永遠に愛してくれるというのなら、その時は考えてあげるわ」

「……分かりました。最強不滅ですね。頑張ります」

 風原は頷いた。

「重(おも)っ。怖っ。永遠と来たか。無期限てぇのは怖えなあ」

 鋼が横を向いて呟いた。その声は水上に届いていたが、彼女は変わらず微笑していた。

 フライブリッジで黙々と操船していた男はなんだか恥ずかしそうに頬を掻いた。

 

 

  三

 

 クルーザーとしては広い船室の接客用スペースで夕食となった。テーブルを囲むのは伏川と探偵社の四人だけで、安西は食べずに社長の後ろに立っている。給仕以外の者達は奥に引っ込んで静かに食べるようだ。

 クルーにちゃんとした料理人を入れていたようで、イタリア料理のフルコースに近い内容だった。

「いやあ、実に美味しいですね。ところでお代わりは可能でしょうか」

 大路は褒めながらパクパク食べる。

「俺もワインのお代わり貰えるかい」

 鋼も大路より食べ、更にワインをカパカパ飲む。グラスに注いで貰った三秒後にはもう飲み干している。顔は少し赤くなるが酔っ払った感じはなく、トイレにも行かない。

「お二人は健啖家ですね。それに鋼さんはよくお飲みになられる」

 内心はどう思っているのか知らないが、伏川は余裕のある態度を崩さなかった。食べ方も上品だ。

「そうなんです。私は多めに栄養を摂っておかないと、すぐ痩せてしまいますので」

 そう答える大路は体重が百五十キロ以上ありそうだった。身長も百九十センチを超えているのだが、横に広く、丸い。スーツは彼の体型に合わせて伸縮自在な特注品だ。ただし、彼が痩せている時を部下達は見たことがなかった。

「酒は男の嗜みだからな。俺の故郷じゃあ一樽丸ごと一気飲みしてケロッとしてる奴も多かったぜ」

 鋼の言葉を吹かしていると思ったのだろう、伏川は曖昧に苦笑した。

「……それにしても、お荷物はあのバッグだけのようですが、あの中に潜水用の装備が入っているのですか」

「心配ですか。船が沈んでいる場所は水深一キロを超えるという話でしたね」

 大路は微笑しながらお代わりのステーキを切る。

「心配という訳ではありませんが、何しろ、普通のサルベージ業者には不可能と言われましたからね。最先端の潜水服でも無理だと。しかし皆さんは『ミラクル』ですから」

 鋼がスイッとまたグラスを空けてから言った。

「船ごと引き揚げてくれって話じゃないからな。沈没した船の中を探してあんたらの荷物を持って帰ってくればいいんだろ。発信器もついてて大体の場所も分かるんだから、水深一万メートルだって余裕さ。問題は、その荷物が破れちまって、発信器と大事な中身がバラバラに散ってしまってた場合だな。海流で流されてるかも知れんし、そうなるととんでもなく広い範囲を探すことになる」

 喋りながらチラリと水上へ目を向けると、彼女は嫌そうな顔をした。直接海に潜るのは鋼で彼女はサポートの予定だったが、検証士・探知士の真似事をするには自分も潜る必要が出てくるだろう。

「おそらくは大丈夫と思いますよ。私の品は頑丈なケースに入っていましたから」

「そうですね、大丈夫でしょう。探すのにあまり時間がかかってしまうと、私も飽きてしまいますからね」

 給仕が一瞬何言ってんだこいつという表情で大路を見た。伏川は目元を僅かに引き攣らせただけで我慢していた。

「所長は飽きっぽいからな。この間もその日のうちに片づけちまったし」

 鋼がそう言ってまたスイッとグラスを空ける。

「ところで、伏川さんの船……セイレーン号が沈んだ詳しい原因は不明ということでしたね」

 これまで黙って食べていた水上が話題を出した。

「ええ、何かにぶつかったという連絡は受けたのですが、それからすぐに沈没したようです。当日は天候も荒れておらず、昼間なので見晴らしも良かった筈です。それが沈没の原因になったのは確かでしょうが、一体何にぶつかったのか……」

「なら海賊とかに襲われたって線はない訳だ」

 鋼が確認する。

「日本の領海から五百キロほど離れてはいますが北太平洋ですから、さすがに海賊はないと思いますよ」

「ふうむ。海賊に襲われたり、他の船にぶつかったりした訳ではないとすると……鮫ですかね。船に体当たりしてぶち壊し、乗員を一人ずつ食べていくんですよ」

 大路が楽しげに語る。多分人食い鮫の映画を観たのだろう。

「……いえ、それもないと、思いますよ。鮫が泳いでいる人を襲うならともかく、船を襲うというのはまずあり得ません。セイレーン号はこのアンダロメダ号ほど大きくはなかったですが、それでも全長二十メートル弱の船でしたしね」

「そうですか。鮫ではないとすると、突然変異で生まれた巨大鮫ですかね。或いは伝説の怪物、クラーケンやリヴァイアサンという可能性も……」

 大路のぶっ飛んだ発言に伏川も耐えられなくなったようだ。ヒクヒクしている頬を押さえ、「失礼、ちょっとトイレに」と言って席を立った。安西が無表情についていく。

「海の怪物かあ。こりゃあ大変なことになりそうだな」

 鋼が言った。

 風原は殆ど酒に口をつけず、俯いて大人しく食べていた。見知らぬ相手との会食など彼にとっては拷問に等しかったが、仲間達がどんどん喋って場を持たせてくれるのが救いだった。

 

 

  四

 

 翌日の朝食と昼食は少しばかり控えめで酒も出ず、お代わりも無理だった。

 大型クルーザー・アンドロメダ号の進みは順調であったものの、晴天が午前中から曇天に、午後には荒天となった。

 大粒の雨が降り注ぎ、船は大きく揺れ続ける。伏川の部下にも気分が悪そうにしている者が出てきたし、不安そうな者もいた。ちなみに風原はケロッとしていた。

「この天候では……。どうでしょう、一旦最寄りの港で一休みして、海が穏やかになってから改めて出発するという手もありますが」

 窓の外に盛り上がる海面が見え、雨が屋根を叩く音が続く中、伏川の提案に大路は首を振った。

「いえ、大丈夫ですよ。上は嵐でも海の中は関係ないですしね。それに、見通しの悪いこんな状況の方が色々面白いことが起きそうじゃありませんか」

「はあ……。大路さんが大丈夫だと仰るのなら構いませんが」

 伏川も大路の突飛な発言については諦めつつあった。しかし、結果が失敗であった場合雇い主としてはどうするつもりか、底光りし始めた瞳が暗示していた。安西を始め、部下の半数がスーツの内側に拳銃を隠していることに鋼と水上は気づいていた。

 嵐というほどではないものの荒れ模様が収まらぬまま、目的の座標に到着したのは午後三時頃のことだ。荷物に取りつけられているという発信器からの信号をレーダーが捉え、携帯式のモニターに表示している。

 十字と同心円で区切られた画面の丁度中心で、発信源を示す光が点滅していた。

「では、始めましょうか」

 大路が号令をかけ、本人は何もしないが鋼と水上が動き出す。キャリーバッグを開けると、直径四十センチほどもある大型の水中ライトと、首から上を密閉するタイプのヘルメットが収まっていた。通信機能があるようで天辺にアンテナが立っている。

「潜水服では……ないのですね。生身で深海に潜るつもりですか。酸素ボンベもない」

 伏川がさすがに尋ねてきた。深海の活動に耐えられる高性能の潜水服が出てくると思っていたのだろう。

「ああ、俺、素潜りで行けるから。無呼吸で丸一日動けるんだわ」

 鋼が気楽な口調で言った。

「いきなり毒ガス撒かれたり、空間から酸素抜かれたりすることもあるから、戦う男なら対策してるもんさ。光のないとこでも戦えるが、品物を探すんならやっぱりライトは欲しいよな」

「は、はあ……そうですか……」

 伏川はそれ以上何も言えなかった。

 小型の通信機らしきものを片手に、水上が伏川に告げた。

「では、情報を再確認しますね。三週間前に沈没したクルーザーはこの真下、深さ推定千六百メートル以上の海底にある筈。回収して欲しい荷物は大型のトランクケースに入っている。頑丈な金属製で鍵が掛かっていて、開けずに持ち帰って欲しい。中身については詮索しないで欲しい。他の荷物や乗員の死体の回収は不要、ということでしたね」

「ええ、その通りです。トランクは絶対に開けないで下さい」

「万が一、トランクが破損してしまっていて中身が見つからない場合は、鋼は一旦船に戻って相談すること」

 今度は鋼に話を向け、彼は頷いた。

「了解。で、このヘルメット、通信機能ついてんのか」

「あら、無呼吸だと喋れないの」

「少しは喋れるけどな。何かあったらヘルメット叩くから、それでいいか」

 鋼はヘルメットを指でコンコンと軽く叩いてみせる。

「そうね……。簡単にサインを決めておきましょう。何かあったら叩いて。こちらが質問するから『はい』なら一回、『いいえ』なら二回ね」

「それ以外なら三回、緊急事態なら沢山ってとこかな。じゃ、行くかあ」

 一行は船室から後部デッキへ出た。早速大量の雨に降られてあっという間に全身が濡れていく。船が揺れるため、風原がよろめいて倒れそうになると鋼が腕を引っ張って止めた。

「ところで、ヘルメットの中って、通信機じゃなくて使い魔が入ってたりしてないよな。この小ささだと虫とか」

 鋼が尋ねると、水上は黙ってニッコリ笑うだけだ。

「これは良い荒れ具合ですね。鋼さん、鮫には気をつけて下さい」

 そんなことを言いながら大路は鮫の登場に期待しているらしかった。大雨の中に立ちながら、彼だけは殆ど濡れていなかった。無数の雨粒が偶然、彼を避けているように。

「余裕があったら一匹くらい釣ってくるわ」

 鋼はニヤリとして答えた。それから三度深呼吸して酸素を体内に蓄え、ヘルメットをかぶる。窓部分の視界は広く取ってあり、鋼の表情も見えた。大型ライトを持つと、仲間達にウインクを一つして、鋼は揺れる海面に足先からスルリと潜り込んでいった。

「あの。僕は何をすればいいんですかね」

 所在なさげに風原が尋ねるので、大路は少し考えた後で言った。

「では、鮫が出るかどうか、ここで海を見張っていてもらえませんか。出たら教えて下さいね」

「分かりましたっ」

 笑顔で返事する風原に、水上は溜め息をついて雨合羽を差し出した。

 

 

  五

 

 鋼源十郎は全身を魚のようにくねらせてスルスルと海中を潜っていく。Tシャツと綿パンという普段着だったが、水を吸って重くなったからといってその程度で彼が動きを阻害されることはない。高速潜行する鋼に驚いて魚の群れが逃げ散っていく。

 荒天のため注がれる光量は少なく、深く潜るほどに視界は暗くなっていく。それでも鋼の目はライトを点けぬまま遥か先の海底をうっすらと捉えていた。

 クルーザー、らしきものを、鋼は潜水後十五秒で発見した。

 ただし、本来の形は留めておらず、船体が潰れちぎれ、十以上のパーツに分解された状態で。

 鋼は接近しながらライトを点けて海底を照らした。

 水圧による潰れではない。爆弾や砲撃を受けたような損壊でもなかった。鯨などの激突によるような単純な壊れ方でもない。鋼はヘルメットの中で眉をひそめる。

 狂暴な強い力によってねじり潰されたような、歪み方とちぎれ方であった。

 船内にあった筈の家具類や機材が周辺に散乱していた。ライトを当ててそれぞれ確認し、海底に到着してからはねじれた船体をひっくり返して内部を確認した。

 伏川が言っていた金属製で大型のトランクケースは見つからない。

 顔をしかめて思案すること数秒。鋼は仕方なくヘルメットを三回叩く。

「どうしたの。クルーザーが見つからないの」

 水上の声が聞こえた。通信機のスピーカーの響きではなく、微妙に舌足らずでもある。ヘルメットに小さな使い魔が潜む可能性が高まり、鋼は益々顔をしかめた。ヘルメットを二回叩く。

「えーっと。クルーザーは見つかったってこと」

 一回叩く。

「クルーザーは見つかったけれど、目的のトランクが見つからない」

 一回叩く。

「仕方ないわね。一旦戻ってきて。発信器はここを指しているらしいから、周辺を探すことになりそうね。はぁー。やりたくはなかったんだけど、痕跡を辿るため私も潜らないと。結界で気密空間を作って……」

 水上の愚痴に鋼は苦笑しつつ、千六百メートルの深海から海上へ向けて泳ぎ出そうとした時、チリチリチリ、と背中に嫌な感覚が生じて振り返る。

 敵の気配だった。が、視界に敵らしき姿はない。上を見る。いつの間にか海中を凄い数の群れが狂ったようにグルグルと周泳している。

 他の大型の魚やシャチもいたが、殆どは鮫だった。全長四メートルから六メートル。人を襲うことで有名なホホジロザメだ。

 最も近い鮫は鋼から数十メートルほど高いところにいたが、敵の気配はそれではない。鋼は首をかしげ、改めて海底を観察する。

 モゾリ、と、鋼の足元の砂地が動いた。素早く下がる鋼の動作は地上と遜色なく、彼の足首を捕らえる筈だったものは虚しく水を掻いた。

 砂中から現れたのは吸盤のついた触手だった。幅十五センチほどで、長さは根元が砂に隠れているためはっきりしないが二メートル以上はある。

 そして、鋼がヘルメットの中で目を細めたのは、その触手が我力を帯びていたためだ。存在の隠蔽にも使われていたその我力は、カイストである鋼を殺せるだけの出力を持っていた。

 ライトは片手に持ったまま、鋼のもう片方の手首と両足底から刃が伸びる。別の場所から砂を散らして新たな触手が現れた。また別の場所からも、次々と。体表面を砂と同じ色に変化させた触手はあっという間に百本を超えた。幅が五十センチもある巨大な触手も交ざっている。

 鋼がさっさと浮上せずその場に留まっているのは、本体の気配が近づいてきたためだ。二百メートルほど前方の海底に、大きな裂け目があった。その海溝はどれほどの深さがあるのか。本体の巨大な気配はそこから這い上ってくる。

 獲物を捕らえようと一斉に襲ってくる触手に、鋼は手足の刃を閃かせた。数本が断ち切られると分が悪いと即判断したようで、触手は引き下がって一定の距離を保つ。だがその間にも数が増え、数百本が鋼を取り囲んでいた。

「どうしたの。早く上がってきたら」

 水上のメッセージが届く。

 海溝から目を離さず、鋼はヘルメットを六回連続で叩いた。

「敵なの」

 水上の声音がやや緊張したものになった。

 裂け目からニョワリ、と巨大な触手が数本現れる。これまでのものは違い、硬質な殻が無数の節を伴って鎧のように覆っていた。所々に返りのついた大きな棘があり、先端に小さな穴があって毒を注入してきそうだ。

 その戦闘向けの触手の後から、グニョグニョと変形しながら巨大な壁がせり上がってくる。いや、裂け目からはみ出した部分は丸く膨らんでいくので、狭い場所に潜むために自分の体を平たくしていたのだろう。

 砂と同じ色をしていた体表面が、赤と青のまだらに変わるのは本来の色か、それとも怒りの表現か。丸くなった本体の幅は五十メートル以上あった。その下部に径二メートルほどの二つの眼球が並び、感情の窺えない無機質な瞳が鋼を見据えていた。

「ああ、タコみたいなでかい魔獣がトランク持ってる」

 鋼は直接言葉で説明した。

 大きな目の間に牙の並ぶ丸い口があり、その周辺に食事の手助けをするためか、短めの触手が生えている。

 その触手の一本が金属製のトランクケースを大事そうに抱えていた。

 

 

  六

 

 鋼が海に潜って少し経った頃、風原が船室に顔を覗かせて報告した。

「所長、鮫が出ました。船の周辺を泳いでいます」

 大路が言った通りの展開に伏川が目を見張り、部下達もざわめいた。

「ほう。何匹くらい出ましたかな」

 大路は澄まし顔で尋ねる。

「今のところ一匹です」

「ふうむ。ちょっと寂しいですね。もっと増えたら教えて下さい」

「分かりました」

 風原はまた後部デッキに戻っていった。

 それから一分ほどで風原がまた報告してきた。

「所長、沢山鮫が出ました」

「ほう、何匹くらいですか」

「百匹はいます。船の周りをグルグル泳いでます」

「それは素晴らしいですね」

 大路が立ち上がり後部デッキへ出た。伏川の部下も何人かついていく。

 激しく上下する波間にあの有名な三角形の背ビレが見え隠れしている。それがグルグルグルグルとクルーザーの周囲を巡っているのだ。グワッ、と大口開けた頭部をデッキへ向けて突き出すこともあり、部下の一人が「うわっ」と声を上げた。

「うむ。いいですね。こんな時に海に落ちたら、寄ってたかって食いつかれて噛みちぎられてあっという間にバラバラになってしまいそうですね」

 何がいいのか分からないが大路は満足げに頷いた。

「では、風原さん、次はもっとおかしな怪物が出たら教えて下さいね」

「分かりましたっ」

 風原は貢献出来てニコニコしていた。部下達は何か恐ろしいものを見るような目でそれを見ていた。

 船室に戻ると水上が機械に耳を寄せて通信するふりをしている。

「一旦戻ってきて」

 通信機に告げ、水上は依頼人達にも聞こえるように大路に報告した。

「クルーザーを発見しましたがトランクが見つからないそうです。一旦船に戻ってきます」

「見つからないって……いやそもそも、もうクルーザーを見つけたんですか。千六百メートルの海底ですよ。あの人が海に潜って十分も経っていないんですが」

 高級腕時計を確認し、伏川が疑わしげな顔をする。

「鋼さんなら余裕じゃないですかね。私には無理ですが」

 水上が答えたところで、ガツンッ、と何かがぶつかる音がして船が激しく揺れた。立っていた部下達がよろめき、伏川も慌ててテーブルの端を掴む。

「おっ、いよいよ鮫がぶつかってきましたかね」

 大路は楽しげだ。

 伏川の部下の一人が泣きそうな顔になって大路に言った。

「あ、あの、頼むから、そんなことを言わんで下さいよ。あんたが言ったことがその通りになってるみたいで……」

 グァバッ、と後部デッキに繋がるドアが押し開けられ大きなものが飛び込んできた。体長五メートルほどのホホジロザメが頭から突っ込んできたのだ。

「ウギャアアッ」

 伏川を含めて多くの者が悲鳴を上げた。鮫にそんなつもりはなかったのかも知れないが、船内に滑ってくるついでに近くに立つ男の足に食らいつこうとした。そこに水上が割り込んでピシュリッ、と鋭く蹴り上げると、鮫の巨体は物凄い勢いででんぐり返って船室の天井を一度凹ませてから、後部デッキを抜け海に帰っていった。

「今のはサービスです」

 助かった男に水上は冷たく微笑んでみせた。それから通信機に向かい問いかける。

「どうしたの。早く戻ってきたら。……そう」

 水上は大路に歩み寄ると、背伸びしてその耳に小声で囁いた。

「ふむ……。タコみたいな大きな魔獣。となるとクラーケンですかね。それともリヴァイアサンかな」

 水上がわざわざ小声にした意味はなかった。

「大路さんっ」

 伏川も限界を超えたようだ。整った顔をビクビクと痙攣させて大声を上げる。

「いい加減にして下さいっ。そんないい加減なっ、も、妄言でっ、私達を振り回すのはっ」

 ドガッ、と乱暴にまたドアが開かれ、伏川達が身を震わせた。反射的に安西がスーツの内側に手を入れる。

 入ってきたのは鮫ではなく、ずぶ濡れの鋼源十郎だった。持ってきた荷物とひしゃげ割れた大型ライトを置いて、アンテナつきのヘルメットを脱ぐと彼は告げた。

「化けモンから取り返してきたぜ。このトランクはそいつのお気に入りだったみたいだ」

 金属製のトランクケースには、太い触手の切れ端が絡みついたままだった。吸盤で吸いついて離れないのだ。

「中から放射線でも漏れてて、それが化け物を惹き寄せたのかもな。ま、中身に詮索しないって取り決めだし、どうでもいいが」

「鋼さん、お疲れ様でした。では、依頼完了ですね」

 にこやかに大路が言った。

 伏川が震える手でトランクに触れ、目的のものであることを確認した。鍵も掛かったままで開けられた様子もない。

 それで漸く安堵の息をつき、伏川が頷いた。

「た……確かに、私のトランクです。ありがとうございました」

「では、帰りましょうか」

「そ、そうですね。東京に戻りましょう。ただ、この荒れ具合ですから、一旦北海道の何処かの港に寄った方がいいかも知れません」

 伏川が指示して運転手がフライデッキへ上がっていく。安西が何か言いたげな顔をしていたが、伏川は黙って首を振った。荷物が戻ったら探偵社の者達を始末する予定だったのだろう。だがあまりの出来事が連続して毒気を抜かれてしまったようだ。彼らに銃を向けたところでどうにもならない予感さえしていた。

「その触手だけ貰ってもいいかしら」

 水上が伏川の了承を得た上で、トランクからなんとか触手を引き剥がした。まだグニグニと動いているものに触れながらじっと観察し、水上は言った。

「何かおかしな成分がついてるわね。自身の分泌物だと思うけれど……フェロモンみたいな誘引物質かも」

「ああ、それで鮫がウヨウヨ集まってた訳か。だが交尾相手を呼ぶってより餌を呼んでる感じだよな」

 そんなことを話していると、雨音に別の音が混じった。銃声のような。何度か鳴っている。

「どうした。何が起きてる」

「おかしな船が近づいてますっ。撃ってきましたっ」

 運転手の慌てた声がスピーカーから届いた。

「おやおや、伏川さんの荷物を狙っている人達ですかね」

 動揺する男達を見ながら大路は平然と言った。

「全速力で逃げろ」

 インターホンのボタンを押して伏川が運転手に命じる。が、すぐにガツンと強い衝撃が来て船が揺れた。

「ああ、乗り込まれました。横づけされて……」

 ドアが開いて自動小銃を持った男達が船室に入ってきた。伏川の部下達も拳銃を抜くが、小銃の連射が天井に十数個の穴を開け、あっさり諦めて拳銃を捨てる。

「何者だ。何が目当てだ」

 トランクを後方に押しやり、伏川が表面的には冷静に尋ねる。

「そのトランク、渡せ」

 大路の予想通りだった。発言した男は五十代で、アジア系に見えるが日本語のイントネーションが少し怪しかった。

 窓の外、クルーザーの左横に大型の漁船らしき船が見えた。しかし乗っているのは魚ではなく、甲板には銃を持った小銃を持つ男達が二十人以上立っていた。

「何処から情報を手に入れた。それに、今日回収に来るとどうして分かった。ずっと見張っていたのか。いや、まさか……」

 伏川は疑惑の目で部下達を見渡す。その視線に耐えられず、一人が列から出て襲撃者達の側に回った。

「沼田、て、てめえ、裏切りやがったのか」

 実業家の仮面を忘れ、伏川はヤクザの顔になっていた。

「あんたんとこは給料安かったからな。こちらの中華マフィアさんは情報だけで五百万払ってくれるってよ」

 沼田と呼ばれた男が吐き捨てる。

「そんなもんどうせ口封じに殺されるだけだろうが。金も払わなくて済むからな」

「社長、あんたと一緒にするなよ」

 せせら笑う沼田の側頭部が銃声と共に弾けた。即死して崩れ落ちる沼田を見下ろし、中華マフィアのリーダーらしき男が言った。

「裏切り、良くないね」

「ほら見ろ、馬鹿が……」

 伏川が苦々しい顔をした。

「そうそう、やっぱり裏切りは良くないですよね」

 大路はそう言ってニコニコしていたし、鋼と水上は他人事みたいに見物していた。

「トランク渡せ」

「渡してもどうせ皆殺しにするんだろ。大路さん、なんとかしてくれませんか。報酬を倍払いますから」

「ふうむ。どうしますかねえ。でもそろそろ次が来そうではありませんか、展開的に」

 派手な轟音が聞こえた。銃声ではなく大砲の音のような。

「しゃ、社長、また船が来てますっ。今度は軍艦です」

「何だと」

 まだフライデッキにいた運転手からの報告に、伏川達だけでなくマフィア側も動揺する。何人かが後部デッキに戻って外を見る。

 千匹近い鮫が踊り狂う荒れた海で、クルーザーやマフィアの漁船もどきとはレベルが違う、全長二百メートルほどの軍艦がすぐ近くまで来ていた。

「おお、こうして見ると迫力がありますね」

 大路も感心して頷いている。

「お、お前は見張ってたんじゃないのか。マフィアの船とか軍艦のこととか、教えてくれたっていいだろうが」

 相変わらずデッキに立っていた風原に伏川の部下が文句を言う。

「えっ。僕はおかしな怪物が出ないか見張ってたので、船とか人とかはどうでもいいです」

 風原はキョトンとして答えた。

「武器を捨てて全員投降しろ。こちらはアメリカ海軍第七艦隊、巡洋艦ポール・バニヤンだ。繰り返す、武器を捨てて全員投降しろ。次は威嚇砲撃では済まさない」

 大雨に負けじと大音量のアナウンスが巡洋艦から発せられた。艦砲はクルーザーとマフィアの船に向けられている。甲板に立つ兵士達の持つ自動小銃はマフィア達のAK47より質が良かった。

「今度は何処から情報が漏れたんですかね」

 大路が面白そうに呟く。

 伏川達もマフィア連中も真っ青な顔を見合わせた。

 が、それで終わりではなかった。派手な轟音は巡洋艦の艦砲が火を吹いたのではなく、艦の側面から水飛沫と爆炎が上がっていた。艦が激しく揺れて兵士が何人か船縁から落ちた。すぐさま鮫の群れに食いつかれ海中に消えていく。

「おや、更に次があったとはサービスが良いですね」

 大路が呟き、皆が呆然と見ていると海中から潜望鏡が、そして潜水艦が浮上してきた。上部のハッチがカポンと開き、顔を出した軍人はロシア人っぽかった。やはり銃をこちらに向けている。

 巡洋艦が斜めに傾いて沈んでいく。救命ボートで脱出しようとする兵士達を潜水艦の乗員達が容赦なく撃ち殺していく。そのうち日本語が使える潜水艦の兵士が「例のものを出せ。さもなくば殺す」と怒鳴り始めた。

 と、まだ海面を睨んでいた風原が突然顔を輝かせ、大路に向かって叫んだ。

「所長、怪物が出ましたっ」

 その二秒後、メギイッ、と潜水艦が軋みを上げ変形し始めた。巨大な触手が艦に巻きついて締め上げているのだ。兵士達が慌てて銃撃を加えるがまるで効いていないようだ。

 続いてゴキャ、ゴシャリ、とマフィアの船も変形して傾いていく。放り出された男達がやはりどんどん鮫に食われていく。触手に巻きつかれて沈んでいく者もいた。

「ほいっと」

 固まっているマフィアの男達に鋼が優しく蹴りを入れて後部デッキから海へと落としていく。鮫と触手にやられて海面が赤く染まっていく。

「鋼、あなた、魔獣にトドメを刺してなかったのね」

 水上が非難するように鋼を見る。

「そりゃあ、依頼を果たすのが最優先だからな」

 鋼は肩を竦めた。

 巨大な触手が海面から飛び出してグネグネと暴れ回り、船も人も鮫も巻き取っていく。クルーザーに取りつこうとするものは鋼が瞬時に手足から剣を伸ばして切り落とした。

「よし、見るものも見たので帰りましょうか」

 大路が満足げに言った。潜水艦がねじれて真っ二つになり沈んでいく。兵士達の悲鳴は荒波に消えていった。マフィアの船は四つくらいに分解されて沈んでいた。

「そ……そうですね」

 伏川の声は疲れ果てていた。

 クルーザーは全速力で進み、なんとか死地を脱出した。暫く追いかけてくる触手を、大路は後部デッキでサンドイッチを食べながら見物していた。

 

 

*** 沈没船の謎の荷物サルベージ 業務記録 ***

 

・依頼人:伏川充。四十六才。F&Sカンパニー社長。

・依頼内容:北太平洋沖で沈没した自社の船から大切な荷物を回収して欲しい。荷物の中身については詮索無用。

・経過と結末:依頼人の所有する大型クルーザーに乗って北海道の東に位置する現場へと出発、一日かけて到着した。水深千六百メートルの海底で荷物は巨大な魔獣が抱えていたが、力ずくで回収。その後すぐに中華マフィア、アメリカ海軍、ロシアの潜水艦が荷物を求めて来訪したが、全て海に沈んでいった。鮫も沢山いた。

・報酬:五百万円。

・今回の被害:巡洋艦と潜水艦の正確な乗員数が不明だが、死者は推定で千人程度。

・今回減った体重:八キロ程度。ただし、依頼が来る前から状況が仕込みに動いていたようなので、それも含めると十五キロ程度だと思われる。

 

・各所員の感想(個別提出)

 鋼源十郎:今回所長はアグレッシブだったな。

 水上麗羅:海に潜らずに済んで良かったです。

 風原真:海って色々いるんですね。

 

・所長としてのコメント:ゴチャゴチャして楽しかったですね。ただ、依頼人の伏川さんは終わり頃随分と老けてしまったようでした。どうしたんでしょうか。

 

 

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