あなたに似た人に会いました。
コーヒーカップを持つ左手の仕草が、その繊細な小指の角度がとてもあなたに似ていて、私は胸が切なくなりました。
だから殺しました。
あなたによく似た左手は、切り落として壺に入れました。
笑顔があなたに似た人の、顔の皮膚を剥いで壺に入れました。
眼差しがあなたに似た人の、眼球を壺に入れました。
耳の形があなたに似た人の、耳を壺に入れました。
声があなたに似た人の、舌と喉を壺に入れました。
振り向く動作があなたに似た人の、後頭部と背中の筋肉を壺に入れました。
あなた。愛しいあなた。
あなたの肉体はなくなってしまったけれど、存在が消えてしまった訳ではないのですね。
あなたは世界に溶け込んで、あなたの欠片は世界中の人々に宿っているのですね。
私はあなたの欠片を回収しています。回収して、大きな壺に詰めています。
いつか、充分なくらい欠片が集まったら、あなたはきっと、戻ってきてくれるのでしょう。
だから私は今日も、あなたに似た人を探しています。